何かを開発する楽しみと苦悩

憧れの仕事と、実際にやっていて楽しく、負担が少ない仕事というのは違います。
モノづくりが盛んな日本においては、昔から製造業や、何かの開発に携わる技術者を志望する学生が大勢いました。
しかし、転職に関するデータをみると、開発職を希望する人はあまりに少ないようです。
なぜでしょうか。
その一つは、勤務時間が長く、精神的にもきついということが挙げられます。
実際生きがいを感じるほど自分の仕事に熱中しているのでなければ、苦痛以外の何物でもないでしょう。
ところで、開発職とは何をする仕事なのでしょうか。
もちろん、何を開発するかによって大きく異なるとは思いますが、ここでは新薬を開発している人の場合を例にとって考えてみましょう。
研究開発部門に所属している人の役割は、「健康を求める人々に価値ある医薬品と情報を提供すること」となっています。
当たり前のことかもしれませんが、利益を得るために仕方がなく何かの薬剤をつくるというわけではなく、人間社会の繁栄という高い志に基づいて、新薬の開発が行われるのです。
また、もう一つの任務は、その薬の価値を最大にすることです。
いくらすばらしい薬でも、世の中に送り出されなければ、または手の届かないようなものであれば意味がありません。
やりがいはあるがきつい
世のため人のために日夜開発の取り組む人たちが、製薬会社で忙しく働いています。
新卒で開発に携わる場合もあれば、病院や調剤薬局で薬剤師として働いてきた方が、転職で開発職になることもあります。
一方、激務に耐えることができず、他の職場への転職を希望される方もあります。
実際製薬会社で身に着けたスキルが役立つ場所はたくさんあります。
製薬会社の開発部門では、新たな研究開発テーマの創出、医薬品承認申請に至るための申込みなどを担当します。
ですから、ただ単に新しい薬を誕生させたらそれで終わりというわけではなく、それを実際に市場へと送り出すまでがその任務ということになります。
物事のとらえ方にもよりますが、開発に携わる仕事は、決して楽な仕事ではありません。
プロジェクトを達成していく過程において、残業時間が増えることはもちろんのこと、思う通りに進まないストレスや焦り、他社との競争からくる重圧等にも耐えることのできる精神力が必要になります。
またある程度は実力主義ですので、結果を出さなかった場合は、非常につらい状況に追い込まれることになります。
そのようなことを踏まえて、転職を考えるときには、安易に金銭面での待遇などによって選ばず、続けていくことが可能かどうかを考えて判断しましょう。